札幌ステラプレイス発 WEBマガジン

ステラ部

12.7
Sun
DEC 2025
週刊ステラ部 vol.29

言葉を知る

2025.12.01 Mon
伊藤 友里
島村楽器 [ EAST 4F ]

 「最近、外国人が増えたなー」と思いませんか。コロナ禍が落ち着いたここ最近、当店でもありがたいことに海外からのお客さまが増え、「日本語が全く通じない」というケースに直面することもしばしば。今や翻訳アプリを開けば、たちまちお客さまの国の言葉に変換され、AIがコミュニケーションをとってくれます。けれども各国からのお客さまが見えるたびにその都度アプリを開き、どの国の言語なのかジェスチャーで尋ね、文章を打ち込んで……という作業は、急いでいるととにかく面倒。安心してお買い物を楽しんでほしい「気持ち」はあるのに、その「気持ち」を伝えることが難しく、もどかしさを感じています。
 小学生の頃に英会話教室に通っていた私は、英語のリスニングには自信がありました。ところがいざ話そうとすると、とにかく単語が出てこない。そういえば、コロナ禍での休業中にTOEICのテキストを買っていたな……と、この4年間、1ページも開くことがなかった問題集に手を伸ばし、「1日1ページやること」を目標にリスキリングを始めました。
 始めこそ「働きながら勉強なんて無理……」と思っていましたが、びっくりするほど楽しくてたまらなくなりました。最初は問題が全く解けないし、間違えてばかり。それでも、昨日まで知らなかった単語を今日は覚えていた時、先週は聴き取れなかった単語が今週には聴き取れた時のうれしさったら!
 これまで、私にとって勉強とは「試験で良い点数を取る」ために、苦痛を強いられるものでした。けれども今は「英語が話せるようになりたい」「相手の言葉を理解したい」という欲があるからか、全く苦に感じません。好きな時に、自分のペースで学べることも理由のひとつかもしれません。勉強道具がノートからiPadに代わったことも大きく、毎日触りたくて勉強もはかどります。

 私はコロナ禍にK-POPにハマって以来、韓国アイドルの推しがいます。だからこそ、曲を聴いたりYouTubeやインスタライブを見るたびに、推しが大笑いしていても何の話題なのか全くわからない。ライブのMCで目頭を熱くしながら語っていても、その理由がわからない──「韓国語がわかれば、推しと感動を共有できるのに」と常々感じていました。そんな軽い動機で、韓国語も1日1ページ勉強法を始めることにしました。
 やってみると、やばい、楽しすぎる!「あぁ、推しが言っていたのはこの単語だったのか!」「私も韓国に行ったらこんな挨拶をして、お店の人にこんな風に注文するのかな?」──ワクワクしながらゆるっと勉強を続けていたある日、勤務中に韓国人のお客さまが来店されました。少しの日本語と流暢な英語を話される方でしたが、突然言葉に詰まってしまい、ポロッと韓国語を一言つぶやいたんです。奇跡的に私が知っている単語だったのでとっさにリピートしたところ、「韓国語がわかるんですか⁉︎」とお客さまはその日一番の笑顔に。小さなエピソードですが、お互いが理解し合えた瞬間の感動は、決して小さくなかったと感じています。
 私は学生時代に、楽器を10年以上演奏していました。その経験から「継続することで技能が上達する、楽しさと喜び」をたくさん味わうことができました。そして今は外国語を継続して学ぶことを、心から楽しんでいます。「1日1ページ」。大人だからこそ最初の一歩は、笑っちゃうくらい簡単なほうがいいと思っています。
 私が働く島村楽器では、幅広いジャンルの楽器はもちろん、音楽をこれから楽しんでみたい初心者の方向けのサービスもたくさんご用意しております。もし、ちょっとでも楽器にご興味がある方は、お気軽にご来店ください。年齢なんて関係なく、楽しみながら自分自身が成長できるって最高だと思いませんか?今は指1本でギターが弾けるコンテンツもあるんです。
 継続、できちゃいそうじゃないですか?
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